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Q1: 転んで歯を折ってしまったのですが・・・
A1: 歯の破折では、その部位が歯の軟組織である歯髄(神経)に及んでいるかどうかで処置が異なります。破折部位が歯の先端に近く歯髄が露出していたり、出血していなければ、失われた部分をそのまま接着性コンポジットレジンなどで修復することができます。折れてしまった片割れが利用できれば、さらに審美的かつ機能的な修復が可能です。しかし、瞬時に歯を折るほどの強い外力は、歯髄全体や歯周組織にも何らかの影響を及ぼしたことも予想されます。数ヶ月後に歯が変色してきたり、歯根外形の一部が吸収されることも時にあります。受傷後最低でも1年ほどは、定期的な歯髄生活反応診査やレントゲン撮影などの注意深い予後観察が必要です。
 一方、破折部位からピンク色に歯髄が透き通ってみえたり、すでに出血している(露髄=ろずい)際には、歯髄の一部を滅菌下で除去し薬剤を貼付してから(部分的生活歯髄切断法)、同様に歯の形を修復します。永久歯が萌出しても3年以内は、歯髄組織に誘導される歯根形成が持続しており、歯髄の完全除去は好ましくありません。受傷してから1日以内であれば、露髄面から細菌が歯髄深部まで感染していない場合もあり、部分的生活歯髄切断法の成功率が高いといえます。
Q2: 強く歯をぶつけて、歯が抜け落ちてしまいました
A2: 不幸にして歯が抜け落ちてしまっても、抜けた歯の保存状態や歯科医にかかるまでの経過時間によっては、歯を元の位置に戻し、機能を回復させることができます(再植)。歯を乾燥させないこと(歯根膜繊維を生存させるため)、再植固定まで2時間以内が成功の目安となります。
 歯を湿潤状態で保存するといっても、水道水に浸しては歯根膜繊維の生存は望めません。身近に使える溶液としては、牛乳がよいとされています。また、学校の保健室には市販の歯の保存液が常備されていることがあります。歯髄を除去し、根管を人工物で封鎖(根管充填)してから再植固定するのが一般的ですが、萌出してから2、3年以内の根未完成永久歯では、歯髄の再生が期待できる可能性も僅かながらあります。
 歯根膜繊維の歯槽骨への生着には、固定期間が比較的短い方が有利なようです(1週間から10日)。歯根膜が生着しないと歯根は直接歯槽骨と癒着し、再植歯と隣りの歯との高さが年々違ってきます。また、著しい歯根吸収をおこし1、2年以内に抜去せざるを得ない場合もあります。しかし、歯列咬合の成長期に、入れ歯などでなく自前の歯で過ごせることは子どもにとって福音であり、再植の意義は極めて高いといえます。
Q3: 口が開きにくく顎が少し痛いのですが・・・顎関節症
A3: 口をあけると音がする(関節雑音)、顎の関節が痛い、口があきにくい(開口障害)を主症状とする疾患を顎関節症といいます。10代前半から散見され、10代後半から20代に多く発症します。最近では年齢に関係なく見られるようになりました。原因として噛み合わせの乱れ、ストレスなどの心理的要因の両者があげられていますが、まだ確定されてはいません。
 中、高校生の同一集団における顎関節症の発症を経年的に調査した研究では、主症状の発生頻度の増減が認められます。初発症状としては関節雑音が多いのですが、必ずしも重症化していくとは限りません。三つの症状が揃っても、一過性であり自然に消退することもみられます。したがって初期のうちは関節の負担を軽くするスプリント療法が適当と思います。
 スプリント療法では、ボクシングなどで用いられるマウスピースを小さくしたような装置を、就寝時を中心に、歯列上に装着します。咬合を僅かに挙上することにより、顎関節にかかる負荷を減少させ、安静化を図ります。多くの症例で、装着数日後には症状が緩和し始めるようです。3ヵ月ほど装着を継続した後、経過観察を行います。
Q4: キシリトールは歯によいと言われていますが何故ですか?
A4: キシリトールはシラカバやトウモロコシの芯などから取れるキシラン・へミセルロースという物質を原料とした甘味料です。砂糖はむし歯の原因となる酸を作りますが、キシリトールは作りません。更にむし歯の活性を阻止しむし歯を予防します。また、唾液の分泌を促しお口の中の自浄作用を高める働きをします。むし歯予防に適した甘味料といえます。
Q5: 神経を取らない治療があるのですか?…3mix(スリーミックス)
A5: むし歯が進行して歯髄(神経)まで到達すると痛みが出てきます。歯がズキズキ痛み始める症状です。従来であれば、神経を取って治療するところですが、神経に達した時期が初期であれば神経を取らないで治療できるようになって来ています。3mix(スリーミックス)という治療法です。メトロニタゾール、セファクロル、プロフルキサシンの3種類の薬剤を調合して作ったものをむし歯の中に入れて、むし歯菌を殺してしまうのです。細菌が死滅するとむし歯の進行が止まるだけでなく、痛みもなくなります。全症例に当てはまるわけではありませんが、かなりの成果が得られます。特に子供で永久歯の根が完全に出来上がっていない場合にむし歯で神経を取ってしまうと、根の成長が止まってしまうことが多いのです。しかし、3mixで神経を助けたり、神経が死ぬのを遅らせることが出来れば、その間に根が成長できます。特に永久歯の根が完成していない子供たちにとって福音といえます。
 本来、健康保険の薬剤ではありませんが、当院では保険治療の際に頻繁に使用して成果を挙げています。