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食べることの大切さ 高齢者篇

 高齢になると、食べることが少しずつ困難になってきます。飲み 込むこと(嚥下)がスムーズにいかなくなるからです。その結果、誤って気管や肺に入ってしまい肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすこともあります。死因第4位の肺 炎のうち、6〜7割が口の中の細菌が原因と言われています。

 食べることは人生の喜びの一つ。生きる意欲につながります。楽しく、安全に食べて、美しく生きていきましょう。

 高齢者が食事で注意する要点を以下に示します。これは日本の第一人者である昭和大学歯学部の向井美恵教授の指導の下まとめたものですので参考にしてくだ さい。








食べることは人生の喜びの一つ。生きる意欲につながります。
食べる喜びは元気の源
口から食べるという動作は、消化器だけでなく、視覚、味覚、臭覚などの五感を刺激し、各部の筋肉など多くの身体機能を使うため、全身によい影響を与えま す。特に、噛むことには脳を活性化したり、唾液の分泌を促す働きがあります。できるだけ口から食べる工夫をするのは、こういった効用があるからです。飲み 込みにくい人も、食材や調理法にちょっとした工夫をすることで、食べやすくなり、食の楽しみが広がります。








食べ物をゴックンと飲み込み、胃に送り込むことです。
ゴックンと飲み込むしくみ
1 食べ物を目で見て、認 知すると唾液や胃液の分泌が盛んになり、食事をするための体の準備が始まります。




2 口に入った食べ物は、噛んで唾液と混ぜ合わされ、均一で飲み込みやすい形(食塊)にまとめられます。




3 1回に飲み込める量にまとめられた食物(食塊)は、咽頭に送られます。




4 脳に信号が送られ、反 射的に“ゴックン”と食塊が飲み込まれます。このとき、気道(気管)に食物が入らないように呼吸路が一時、弁(喉頭蓋)で閉じ込められます。それから食道 の入口が開いて、食塊が食道から胃へ送られます。








むせてしまったり、飲み込みにくくなって食べるのが困難になることです。
嚥下障害のサインに注意しよう
最近こんなことはありませんか。
体重の減少  食事に時間がかかり、食べる量が減る。
むせる  気管に入りかかったときに反射的にむせる。
弱いせき  気管に入りかかっている食べ物が出せない。
飲み物が苦手  サラサラしている液体は飲みにくく、むせやすい。
たんが出る  たんが増えるのは気管に異物の疑いがある。
咽頭の違和感  のどの奥に食べ物がたまっている疑いがある。
嚥下障害を放って おくと・・・
飲み込みにくい状態が 続くと食べ物や飲み物が十分に摂れないので、水分や栄養が不足して体力低下につながります。また、食べ物が気管や肺に入ると、窒息や肺炎を起こすこともあ るので、嚥下障害を放っておくと危険です。








食べたものが気管に入り込むことです。窒息や肺炎を招くことがあります。
こんなとき誤嚥し やすい
● 食べ物が口の中でばらけて、うまくまとまらない
● 飲み込もうとしないのに、口の中の食べ物がだらだらと気管に流れ込む
● 口の中やのどの神経などが麻痺しているか弱っている
● のどの奥に食べ物が残っている
● 気管の入口の開閉がうまくいかない
嚥下造影検査でみると
先天性代謝障害の30代の患者さんです。嚥下の際 に気管への食物が流れ込んでいる(誤嚥)が、見られます。気管に入り込んだ食物をせきばらいで排出することができないと、そのまま肺に入り、誤嚥性肺炎の 原因となるおそれがあります。








安全においしく食べるための工夫がいろいろあります。
誤嚥を防ぐために
● せきばらいの練習
食事中にむせたときは、気管に入りかかったものを、せきをして出すことがとても大切です。いざというとき、しっかりせきができるよう、普段から練習してお きましょう。腹筋の動きも意識しながら、せきばらいを数回くりかえします。
専門家の指導を受けよう
嚥下障害がある人の訓練には、専門家の指導が必要です。正しく安全に行わないと効果がないばかりか、危険を招くこともあります。医師、歯科医師やリハビリ テーションの専門家の指導を受けてください。
● 嚥下パターンの訓練 ● 嚥下誘発訓練 ● 呼吸コントロール
● 口腔の機能訓練 ● 摂食姿勢保持訓練など
ブラッシングで歯と口の中を清潔にする
何も食べていなくても口の中は汚れてしまい、雑菌が繁殖したり、就寝時に唾液とともに気管に入ることがあります。食前、食後はブラッシングを行い、日常的 に口の中を清潔に保ちましょう。
食前のウォーミングアップ
飲み込みにくくなると、むせやすかったり、食べるときに緊張して、首や肩にも力がはいってしまいます。両肩を上下させたり、首を軽くまわしたりしてほぐ し、口や舌の体操をしましょう。
頬の体操 舌の体操
頬をふくらませた り、
へこませたりする。
口を開け、舌を出 し入れしたり、
舌で左右の口角に数回触れる。
食べるときの姿勢や食器具を工夫する
上体を起こして安定させ、両手が動かしやすい姿勢をつくります。食器のすべり止めシートや、握りの太さや角度が工夫されたスプーン、ふちが斜めにカットさ れたコップなどを利用し、できるだけ自分で食べられるように援助をしましょう。








安全で食べやすい姿勢をつくり、ゆっくりとしたペースで食べましょう。
あごがあがらない 姿勢を保とう
椅子などに座って食べるときは、あごを引き気味にします。座る姿勢をとれないときは、首を少しだけ前に曲げ、背部と後頭部が 直線にならないようにタオルなどをはさみます。また、股関節、膝関節を曲げ、足の底が物について安定するようにします。
食べさせるときに心がけたいこと
● 盛り付けを工夫し、食欲を引き出す。
● これから食べる食事を目で見て、かおりを感じることができるようにテーブルをセットする。
● 口に入れてあげるときは声をかけて、食べる意識を引き出してから。
● 食べているときには集中させ、しっかり飲み込んでから声かけをする。
● 食べこぼしがあっても、食べる意識をそぐような言葉は控える。
● 片麻痺がある人は、麻痺のない健康な側から口に入れ、介助する。
スプーンの大きさと量
スプーンは横幅が口の幅の半分くらいの大きさで浅めがよい。のせる量は、スプーンの3分の2程度を目安とする。








強くせきをしたり、背中をたたいても取れないときは、指などで取り出します。
むせたときは前かがみでせきをする
むせるのは、気管に入 りかかった物を出す反応です。気管に入りかけた物を確実に出すためには、前かがみでせきをします。必要なら介護者は背中を軽くたたいて(タッピング)せき を誘発し、排出を促します。
指や掃除機で つかえた食べ物を取り出す
指が届くなら、ガーゼ などを巻いた指でかき出します。おもちをのどに詰まらせるなど緊急の場合には迷わず救急車を呼び、到着までの間にノズルをつけた掃除機で吸い取るなど対処 する場合もありますが、電話口の指示に従いましょう。
のどに詰まったときは迷わず救急車を呼ぶ 119へ








調理にちょっとした工夫をプラスして、家族と一緒においしく食べましょう。
心も体も満足する食卓にしよう
食卓を整え、料理を目 とかおりで楽しみ、味つけや食感を充分に味わいながら飲み込む・・・。楽しい雰囲気での食事は、五感に働きかけ、心と体に栄養を与えます。主食・主菜・副 菜を栄養のバランスよく取り揃え、水分も安全にたっぷり摂れるようにトロミ調整食品を利用し、工夫しましょう。食べやすい食器具、工夫された盛りつけで、 くつろげる、おいしく楽しい時間を過ごすことができる食卓にしましょう。
やわらかくす る調理法
家族と同じメニューで も、素材の形状を変えたり、やわらく調理すれば飲み込みやすくなります。
飲み込みやすくするポイント
口の中でばらけずに、スムーズにのどを通る工夫をしましょう。
こんな食感は避けよう
● サラサラ むせやすい ● ボロボロ ばらけやすい
● ペラペラ はりつきやすい ● パサパサ ぱさつきやすい
1 適度な水分を含 ませる
ぱさつきを防ぐために、適度な水分が必要。
2
ツルンとさせる
ゼラチンなどで固めると、口の中でばらけることなく、のどごしがよい。
3
油脂やつなぎで まとめる
マヨネーズやドレッシングなど油性のソースで食材をまとめる。ひき肉料理は、加熱前に卵や小麦粉を混ぜて、まとまりをよくする。
4
トロミをつけて ばらけるのを防ぐ
食材にあん風のとろみをつけて、口の中でばらけるのを防ぐ。のどごしもよくなる。
5
サラサラした液 体にはトロミをつける
お茶などの液体にはトロミをつけて、むせを防ぐ。
こんなとき・・・
トロミづけには市販のトロミ調整食品が
手軽でたいへん便利です。








食べ物や飲み物に混ぜるだけで、好みのトロミをつけることができます。
トロミ食品の 特徴は・・・
昔から、トロミ付けと いうと片栗粉を使うのが一般的ですが、加熱しなければとトロミがつかないのが不便な点でした。その点、トロミ調整食品は、冷たくても熱くても食品の温度に 関係なく、簡単にトロミづけできるので大変便利です。トロミ調整食品には、でん粉や、天然の植物などから抽出された増粘多糖類と呼ばれるものが原料として 使われています。
使用する前に専 門家に相談をしてください
食べる人の状態により、適するトロミの強さは異なりますので、医師、歯科医師、栄養士などの専門家の指導を受けて、ご利用ください。
増粘多糖類って なに?
おもに植物に存在する粘り気のある素材で、果実から抽出されたペクチン、豆由来のグアーガム、ローカストビーンガム、海藻由来のカラギーナンなどがありま す。安全性が認められており、多くの食品に使われています。
トロミ調整食品を使用することで、 誤嚥が確実に防げるものではありません。
お取り扱い上の注意
粉末の商品を誤ってそのまま食べると、窒息する危険があります。幼児や意識障害がある方の手の届かない場所で保管してください。


トロミ調整食品を使いこなす注意とコツ


トロミをつけた い食品にすばやくかき混ぜながら入れる
粉状の場合、ゆっくりかき混ぜているとダマになってしまうことがあります。また、一度トロミがついたものに、あとから加えるとうまく混ざらずダマになりや すいので、注意してください。


ダマができたら 取り除く
ダマができてしまったら、取り除いてください。ダマや粉が残ったままの状態で食べると、ダマの大きさによってはのどに詰まる恐れがあるからです。


トロミを追加し たいときは濃いめの溶液を別に作る
一度トロミのついたものに、トロミ調整食品を粉のまま入れるとダマになりやすいので、濃いめの溶液を別に作って加えてください。


食べる際のトロミの程度に注意する
トロミ調整食品を加える食品(お茶、牛乳)の種類や温度によって、トロミの程度に差が生じる場合があります。また、時間とともにトロミの具合が変化する場 合があります。食べる際には、トロミの程度を確認してください。商品の【取扱い上の注意】を確認の上、ご使用ください。


ミキサーにかけ るときは食材と一緒に
おかずをミキサーにかけるときは、トロミ調整食品も一緒に入れてミキシングしてください。




<指導> 昭和大学歯学部 口腔衛 生学教室
向井 美恵教授
ヘル シーフード株式会社